数学の授業で登場する「部分分数分解」。これは、分数の形を簡単にしたり、積分の問題を解いたりする際に非常に役立つテクニックです。しかし、最初は少し難しく感じるかもしれません。この記事では、部分分数分解の基本的な考え方から、実際の手順、例題を通してその使い方をわかりやすく説明します。
部分分数分解の概要
部分分数分解とは、分数の形 を、より簡単な分数の和に分解する方法です。特に、分子が多項式で、分母が次数が高い多項式のときに使います。部分分数分解を使うと、積分や計算が簡単になり、非常に便利です。
部分分数分解の基本形
例えば、次のような分数の形で考えます:
ここで、 と は多項式で、 は より次数が高い場合に部分分数分解を行います。分母 を因数分解して、それに基づいて分数をいくつかの簡単な分数の和に分解します。
部分分数分解の手順
部分分数分解を行うための基本的な手順は以下の通りです:
- 分母を因数分解する 最初に、分母 を因数分解します。因数分解できる場合、例えば次のようにします:
- 適切な形に分解する 分母を因数分解した後、分子をそれぞれの因数に関連付けて、部分分数の形に分解します。例えば、次のように分解します:
ここで、 と は未知の定数です。
- 未知の定数を求める 次に、分子の係数を比較することによって、未知の定数 と を求めます。
- 必要に応じて積分や計算を行う 部分分数分解後、必要に応じて積分や簡単な計算を行います。
部分分数分解の実際の例
例1: の分解
- 分母を因数分解 分母はすでに因数分解されています:
- 分解形に分ける 次に、分数を次のように分解します:
- 未知の定数を求める 分子の両辺を合わせて、次の式を得ます:
これを展開すると:
ここで、 の係数と定数項を比較します。よって、次の2つの方程式が得られます:
- 連立方程式を解く 連立方程式を解くと、 と が得られます。
よって、部分分数分解の結果は次のようになります:
部分分数分解を使う際の注意点
部分分数分解を行う際には、いくつかの注意点があります。
- 分母が因数分解できない場合: 分母の多項式が因数分解できない場合、部分分数分解を使うことができません。その場合は、他の方法を検討する必要があります。
- 重解がある場合: 分母に重解が含まれる場合、分数を次のように分解します:
- 積分の活用: 部分分数分解は、積分の問題で非常に役立ちます。特に有理関数の積分において、部分分数分解を行うことで積分を簡単に解けることが多くあります。
まとめ
部分分数分解は、複雑な分数を簡単にし、積分や計算をスムーズに進めるための強力なツールです。分母を因数分解して、それに基づいた分数の和に分解する方法を理解することで、数学の問題解決力を高めることができます。この記事を参考にして、部分分数分解の手順をしっかりマスターしましょう!